秋田へようこそ探偵エルフさん8-1

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群青の心境と黄金の自転車道の謎を追え!【事件編】

前回・・・秋田へようこそ探偵エルフさん7-3

 短い夏が終わりかけて、空気の匂いが秋になっていた。

 本当に良い匂いの季節だ。

 それは人生において、私が食欲を最優先するからではないと付け加えておく。

 私の住む秋田県は、セミから鈴虫・コオロギなどに、季節の音色が変わった。

 それに、収穫が近づいた農作物が作る風景もより綺麗きれいになった。

 あれ、やっぱり食欲の秋じゃ……。

 おっと、それ以上はいけない。

 日中の最高気温が30℃を超えることが少なくなってきた。

 それは虫や植物、動物たちが、快適に暮らせる温度なのだ。

 そういう訳で、季節の変わり目を植物や生き物たちが教えてくれる。

 この田舎らしさ増しの匂い、すごく眠くなる季節だ。

 さて今、大館おおだて市は、夏の名残の中。

 夏が終わりかけて、秋は始まりのギリギリ前。

 雲の形も、行き合いの空だ。

 最近では、3、4日間ごとに、寒さと暖かさをくり返している。

 心なしか、朝晩の寒暖差も10℃くらいと大きい。

 これが北東北きたとうほく地方らしい、残暑という状態なのだろうか。

 ただ、秋晴れの下では、まだ日中暑い。

 何だか浮かれていた夏が、そのままであるような気がする。

 私たちは小さな日常の謎を追った。

 自転車で黄金の道を進んだ。

 4人分の思い出、あの青さが重なる。

 心の中は、群青ぐんじょうだった。

 そもそも、だ。

 この件の始まりは、前の案件、長走風穴ながばしりふうけつの話からである。

 少し、私の回想だ。

 思い出の順番では、もう1つ戻る。

 これは復学した高校生活の話、そのエピソードの1つだ。

 私の高校のクラスメイトに、羽黒詩彩ハグロシアという娘がいる。

 モデルさん並みに長身のシア。

 大館おおだての街だと、歩いているとすぐ分かるくらいだ。

 この級友は、すきあれば寝ている娘で、良い意味で目立つ感じではない。

 私の記憶でも、先生や同級生に、寝ているのを起こされている印象だった。

 それでも寝る娘は、他人よりはるかに運動と勉学が出来た。

 寝ぼけていても、体育のバスケットボールでは3ポイントを連続で何本も入れてしまう。

 それに、寝起きで話を聞いていても、教師の手厳しい質問を難なく答えているようだった。

 ボーと生きている割に、世の中を上手に渡ることが出来る娘、ずる賢い能力が身ついている。

 だから、シアについて私の印象は、当初あまり良くなかったと思う。

 人見知りなのか、積極的に友達を作る娘ではないが、やや似た性格のミヒロといつの間にか友達だった。

 そういう前置きがあった後、長走風穴ながばしりふうけつに行った日のことだ。

 あの快適な冷風の前、ミヒロが猫のように溶けてしまった。

 その帰りは、シアのお父さんが溶けた猫を車に乗せてくれた。

 車は、さっさと走り去る。

 あれれ、ミヒロが乗ってきた自転車は、と私が思っていると。

 その自転車は、この級友が回収したのだ。

 当然、私は疑問を抱いた。

 だから、この自転車は、ミヒロのものだろう。

 シアに回収してもらっていいのか。

 私の気持ちは、探偵エルフさんのレナが代弁した。

 珍しく、おずおず尋ねるエルフさんは、ハイテンションの級友に圧倒されていた。

「え、羽黒ハグロさん、他人の自転車に乗って帰るのか?」

「あー、レナっこちゃん! いえーい、めっちゃぷりちーなエルフさん。そうそう、ミーちゃんとの約束だから」

「えぇと、そうなのか。羽黒ハグロさん、気をつけて帰ってくれよ」

「うん。あ、レナっこちゃんたちは、私のことをシアちゃんって呼んでね! 羽黒ハグロじゃ、友達の呼び方じゃないでしょ。へばなーッ!」

「あぁ、もちろん! マイフレンド、シーユースーン」

 他人の自転車に乗ったシア、風のように国道7号線を去って行った。

 坂道という傾斜の概念は、この親愛なる隣人にないのだろう。

 物怖ものおじしないレナでさえ、終始押され気味の会話だった。

 それを見ていた私も、羽黒詩彩ハグロシアの隠された社交性を知り、面を食らっていた。

 レナの運転するバイクの帰路、私たちは困惑で無言だった。

 私からすると、ミヒロは気性が荒い。

 猫というより、ヤンチャな緑色の小亀だ。

 ただ私たちが心配したほど、ミヒロがシアを良いように使っている訳でもないのだ。

 2人で、とある約束を交わしていた。

 ちゃんとお互いが、winウィンwinウィンになるように。

 その約束は、近々、私たち4人で遊ぶ機会を作るというものだった。

 岩場に隠れ潜むかにのように、人見知りが強いシアだ。

 ご察しの通り、友達が少ない。

 この提案かつ対価は、級友にとって魅力的だったようだ。

 亀・かにの密談に、私たちが巻き込まれた感じは否めない。

 ただ私自身、羽黒詩彩ハグロシアのようなタイプの娘と、友人として付き合うのが初めてかもしれない。

 正解がないのが、青春だ。

 その代名詞のような存在の登場に、若さゆえの青すぎる戸惑とまどいを覚える。

 後で思い返せば、お金で買えない価値がある、群青の心境ラピスラズリに私もなっていた。

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【つづく】

秋田へようこそ探偵エルフさん8-2

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著者

鬼容章(きもりあきら)

秋田県大館市生まれ、現在も大館市在住✨奥秋田を推す創作サバイバーの鬼容章です🐸φ✨秋田県に関する投稿は、僕🐸の個人見解です✨                          

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