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紅に変わり行く景色の謎を追え!【事件編】
秋は気まぐれに変わる天気に翻弄され、重ね着の頻度が増えてきたことから肌寒さが増す一方だと分かる。吹雪ホワイトアウトまでとは行かないけど、朝は濃霧で視界が悪い。
その上、葉っぱや植物に、朝霜が場所によっては現れている。気温が一桁の前半になってくる。
いよいよ雪が降り出すのではないかと、余計な心配を季節柄、北日本地方に住む人はしている。
それに、後2か月。
今年も残り日数わずかだ。
ハロウィンと紅葉が終われば、行事も師走の雑務で忙しい。
それは私の住む秋田県も例外ではない。
今はまだ、ハロウィンと紅葉で、秋の行事が埋め尽くされているような気がする。
山に朝靄がかかり、道路は昨日の雨で少し濡れていた。そこに1台のレンタカーが走る。
運転席のドーム、助手席のミヒロは、無表情を装っていた。
2人とも緊張で目がギンギンになっている。
おい、バックミラーに無様な顔が2つ映っているぞ。
ドームがレンタルした車が、大館から能代市までの秋田自動車道を走る。朝の眠気が強いという、ありふれた女子大生のドームが、そこそこな安全運転している。
後ろの席の私たちの方も、現状がよく分かっていない。
というか、レナは舟をこぎ、まぶたを閉じて寝ている。
私たち4人は、レンタルカーの暖房の効きが悪くて、移動の終始はとりあえず無言であった。
まだ季節に身体が慣れなくて寒いんだよ、と私の本音を伝えておこう。
普段、弘前に住んでいる女子大学生のドームが、真顔で「きみまち阪公園の紅葉見に行こう」と行ってきた。 反骨心の塊の、大館の女子高生ミヒロが「おう、行こうぜ」と肯定的な返事をした。そんな会話は、ただの悪だくみに聞こえる。
2人とも普段、良い子にはしないタイプだから。
さて、私たちの乗る車は、道の駅ふたついの駐車場に至る。
秋の空は曇天。気づけば霧も晴れていた。
レナの目も少しだるいモードで、朝から探偵活動を始めていた。
ミヒロが思い出したようなフリをした。おそらく、私の気分を上げに来た。
「ソナ、じゃっぷぅ食うよな?」
「ん、じゃぶじゃぶ。 パンチパンチ」
「じゃっぷぅ、だ。氷菓子」
「寒し、どうだべ」「そっか。じゃっぷぅ4人分で行こうか」
「おめだば、人の話聞げしッ!」
結局、でもね。
小さくても旅は堪能したい、という欲求も私だってあるのだ。軽快なきみまちソングを聞きつつ、歩いて道の駅に入るのは、トイレ休憩のためだけじゃないぜ。
じゃっぷぅをお洒落に決めるんだ。 米代川の見える、窓側の机椅子に4人で座る。 道の駅ふたつい内の福多珈琲さんで、買ったばかりのじゃっぷぅを食べるよ。じゃっぷぅは、氷とアイスを混ぜたような懐かしい触感だ。
かき氷やシャーベットより、舌触りが滑らかである。子供受けする甘味は、女子高生の私にもクリティカルヒットする美味さだった。
練乳入りで、私は正解を導いたと直感した。
単味のじゃっぷぅを上手にかき混ぜながら、レナは食べている。
それはともかく、不思議なことをミヒロが聞いてきた。
「ソナ、レナっことじゃっぷぅシェア食いしないのか?」
「1人1個だべ」
「うわ、そうだ。あたしが4人前にしたんだった」
「言い出しっぺは、おめだべ」
「覚でろ~」何、ハンカクサイさんの口調の真似をミヒロはしているんだ。
超神ネイガーさんは、今ここにいないぞ。窓の外のドアが開いた。
いつの間にか、席を立っていたドームが肩を落として帰ってきた。
じゃっぷぅを飲み物のように一気飲みした。
能代の曹司本家の娘、ドームは特殊な訓練を受けているのだろう。いや、本家でも一気飲みの訓練は受けていないか。
彼女の特技ということで。
その女子大生さんは、空のカップを机に置いた。
昨日の雨で米代川の水位が上がり、今日のカヌー教室は中止になったそうだ。ここ数日のうち、昨日はまずまず雨が降ったと思う。
ジャプジャプ混ぜてじゃっぷぅを食べているレナが、猫目でジーッと、ドームを睨んだ。「お前、私がカヌーで慌てふためくのを、ニヤニヤした顔で見るつもりだったろう」
「まぁ、そんなところ。もう今日のハプニングは起きないから安心して」
「言い方が何となく腹が立つが、素直でよろしい。次はどこへ行くんだい」
「うーんと、きみまち阪で紅葉狩りをするか」おぉ!
ここが恋文と紅葉の聖地か。
私は目を輝かせた。
そういうのは文学的で素敵だ。 次の私は、惚けた声を上げた。 「あれ、何して恋文なんだべ?」「「「ふふん」」」
周りの3人は、ドヤ顔で答えを知っていますアピールだ。
私の父は大館市と北秋田市には詳しい。 だけど、あまり能代の方面のことを教えてくれなかった。父が口を閉じる理由、私にも分かる。
自ら出奔してしまうほど、能代の曹司本家との確執があり、昔の話を未だにしたがらない。その結果、私1人、恋文なんだっけ状態だよ。
親の問題と娘の好奇心は違うのに。
むむむ。
何か釈然としない。
それに無知が恥ずかしい。
友達みんなが私より知っていて悔しい。
じゃっぷぅを食べた空容器を、先に1人、ゴミに捨てた。
私はさっさと、道の駅ふたついの横の交差点方面へ歩いて行った。
勝利の妄想モードから我に返った3人は、慌てて追ってきた。
ただし、不機嫌な私の顔は、すぐに溶けた。
目に見える光景が全て素敵だったからだ。 傾斜地と岩場から見える水量が多く広い、一級河川の米代川が見える。坂になっている紅葉の木々の美しさがこんなにも近い。
本当に、神様の、自然界の祝福を受けた場所だと思う。
これが最強のパワースポットと呼ばれる、きみまち阪公園の紅葉だ。そうそう。
きみまち阪紅葉まつり、だっけ。上中下と坂道は、下へ向かって紅葉が移っていく。
そのため、長い期間、きみまち阪公園は紅葉狩りを楽しめる。【広告・PR】
